帝国繊維株式会社
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第一回 クニエダヤスエさんはこちら

はじめての外国は40年近く前のことになります。
当時は今ほど気楽に海外へと行ける時代では
ありませんでした。外資系の航空会社に合格した後、
研修のため数ヶ月間 ヨーロッパに滞在しました。
旅行気分はなく、毎日ホテルとトレーニングセンター
の往復でしたが当時の私にとっては見聞きするもの
すべてが新鮮でとても貴重な体験となりました。

その後客室乗務員として5年間、
日本とヨーロッパを行き来する生活を続けてい
る間も、休暇の度にいろいろな国を訪れるのが
とても楽しみでした。
美術館や歴史的建造物、
肌の色や言語の違う人々...日本との文化の違い
を強く感じたものです。

なかでもカルチャーショックを受けた物のひとつが、
リネン類。仕事柄ホテルに滞在することが多い私にとって、
気持ちの良いタオルが備わっているということも、
疲れを癒してくれる重要なポイントでした。
そして、ヨーロッパの素敵なホテルで麻のタオルに
出逢います。タオルといえばホカホカのコットンで育った
私にとっては驚きでした!
この驚きが、私とリネンの素敵な出逢いの始まりでした。
今から思えば、特にヨーロッパはリネンの産地として有名で、
衣類のみならず、生活の身のまわりの物など...
長い長い麻の文化を持っています。

もともと染色と織りの技術の無かった頃のヨーロッパでは、
文字や模様を表わす手段として、
刺しゅうが重要な役割を担っていました。
シルク、ウール、麻と天然素材の布地に刺繍された
当時のものは、ヨーロッパの美術館等で
目にすることがあると思います。
その中でも麻地に刺されたものが実に多いのです。

趣味ではじめた刺繍がいつの間にか仕事となり、
今ではもう 30年以上も経ちます。
毎日針を持って何かしら作品を刺していますが、
気がつくと土台となる布地はほとんど麻を使用しています。
実は麻地といっても沢山の種類があるのをご存知でしょうか。
目の詰まったしなやかな麻や、目の粗い麻など、
その種類の多さには驚かされます。

長い歴史を持つ刺繍も同様にいろいろな手法があります。
その都度、麻地もその手法にあったものを
選ばなければなりません。
この組み合わせも刺す前の大切なポイントで、少しでも
間違えると作品に仕上がった時に違和感が生じてきます。
また、制作する時は必ず上質の麻を選ぶ様にしています。
手間暇かけて丁寧に作るものだけに妥協はできません。

そして、気がつくと
家でのバスタオルやキッチンクロスも麻。
いつも麻に囲まれて暮らしていることに
改めて気づかせられます。
時がたつにつれて どんどんやわらかく
素敵になっていく麻は、もはや、私にとっては
手放せない物の一つです。
 

ちなみに私の最近のお気に入りは
麻の白のハンカチに素敵なイニシャルで刺しゅうをしてプレゼントすることです。
お金では買えないものを差し上げたいときの切り札ですが、このときこそ綿でもシルク
でもなく、上質な麻でなくてはいけないのです。長く大切に使って欲しいから...。

※このコラムに掲載させていただいたすべての写真は、大塚あやこさん公式サイトより引用させていただきました。



オフィシャルサイト
http://www.ayakootsuka.com/


日本刺繍・欧風刺繍の刺繍家である母の元で
幼少の頃より刺繍に親しむ。
KLMオランダ航空に客室乗務員として入社。
退職後、おんどり手芸アカデミーにて講師の資格を取得。2005年4月に直接指導による刺繍教室
「Embroidery Studio ECRU」を開講。
伝統的な技法に裏づけされた新しい感覚の刺繍は、
幅広い世代に受け入れられている。
刺しゅうの普及や、後進の育成に努める傍ら、
トヨタ自動車、ミスタードーナツなどのカレンダーや、
大阪梅田「HERBIS ENT」、米国フロリダ州政府柑橘局、
などの広告制作や「NHKおしゃれ工房」などのテレビ出演、 雑誌、著者本・監修本等の書籍を出版するなど
幅広い分野で活動している。

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